私たちが販売している「オレは摂取す ジェル」のパッケージは、業界で「Tパウチ」と呼ばれる、細長いT字型の袋になっています。今日はその袋の話を、すこしさせてください。

正直に言うと、Tパウチはコストだけで考えたら選べない選択肢です。
例えば、もっと安く作れるパウチがあります。具体的には「三方シール」と呼ばれる、袋の三辺を機械でシュっと熱圧着するタイプのパッケージです。

世の中のゼリー飲料の多くがこの方式で、量産にも向いていて、コストもぐっと抑えられます。実際、弊社もアスリート向けではない商品で用いています。
では、なぜ、「オレは摂取す ジェル」では、コストの高いTパウチを選んでいるのか。
ザックの中の事件
きっかけは、トレイルランナーやウルトラランナーの方からの一言でした。
「三方シールのジェルって、ザックに入れて走ってると、たまに穴が空くんですよ〜」
最初に聞いたとき、思わず、えっ!?と声が出ました。穴って、どういうことだろうと。よくよく聞いてみると、こういうことだそうです。
ザックの中で他の荷物と擦れたり、走る振動で何時間も揺れ続けたりすると、パウチの角が当たり続けて、そこからピンホール、つまり小さな穴が空いてしまう。気づいたらザックの中がベタベタ。そんな経験をされた方が、何人もいたんです。

せっかくの補給食が無駄になるのはもちろん、ザックの中の他のギアまで汚れてしまう。100kmを越えるレースで補給を1本失うことは、ペース配分そのものを狂わせます。
三方シールには「角」がある
三方シールのパウチは、袋の四隅にシール部分がピタッと出るので、どうしても角が立ちます。
プライベートで飲むぶんにはなんの問題もないのですが、ザックの中で長時間揺さぶられる前提で考えると、その角が他のジェルや道具に刺さってパッケージに穴が空いてしまう。
そこで採用したのがTパウチです。
スティック状で、シール部分が体の脇にスッと収まる構造になっている。角が立ちにくく、ザックの中で他のものを傷つけにくい。何時間揺れても、ピンホールが起きにくい設計です。
コストとしては結構な負担になりました。袋の単価が上がるし、充填する機械の都合もあって、生産効率も三方シールほどよくはない。それでも、アスリート向けの商品として譲れなかったんです。
ランナーといっても、ぜんぶ違う
私たちが摂取すを開発するときに、いつも意識していることがあります。
ランナーと一口に言っても、本当にいろんな競技、いろんなシチュエーションがあるということです。
トラックの中距離選手と、フルマラソンの市民ランナーと、トレイルで山を駆けるランナーと、ウルトラで100kmを越える人と、トライアスロンで泳いで漕いで走る人。みんな同じランナーと呼ばれるけれど、補給食に求めるものはそれぞれ違うわけです。(実は、また新しい視点の新商品も開発しています。その話は、またどこかで)
味、容量、飲みやすさ、携帯性、そしてザックの中での耐久性。
摂取すファミリーには、こうした多様な競技のトップ選手やランナーがたくさんいてくださって、皆さんから本当にいろんな視点で意見をいただいてきました。
「レース中盤、胃が受け付けない時に飲めるかどうか」
「片手で開けられるか」
「ザックの中で破れないか」
私たちだけでは絶対に気づけない視点ばかりです。
Tパウチを選んだのは、そうした声があったからです。コストが上がっても、ランナーが本番で安心して使えないものは、うちは作りたくなかったんですね。
最後にひとつだけ、お願いがあります
最後に少しだけお願いをさせてください。
実はこのTパウチ、ひとつだけ、心を痛めている課題があるんです。
「飲み口を切ったあとの、小さな切れ端」のことです。
少し前に、Xで話題になった投稿がありました。マラソン大会やトレイルの大会のあと、コース上にジェルの切り口がたくさん落ちている、という指摘です。
これを目にしたとき、正直、複雑な気持ちでした。
走りながらの動作なので、無意識に、手から切り口が離れてしまうこともあると思います。決して、わざと捨てているランナーばかりではない、ということも分かっています。
だからこそ、お願いさせてください。
飲みきったパウチも、切り口も、必ずゴミ箱へ。または持ち帰りましょう。
私たちは、これを「ごみゼロ摂取す」と呼んで、最近はインスタの投稿でも繰り返しお伝えしています。
Tパウチでザックの中を守りたかったのと同じくらい、コースを走るランナーや、応援してくださる地域の環境、ボランティアスタッフの皆さんのことも、私たちは大事にしたいんです。
切り口が落ちないように、握ったまま次のエイドまで走る。ポケットの奥に押し込む。そういう小さな動作の積み重ねが、これから先も大会が続いていくための、見えない支えになると思っています。
地味なパッケージの話ですが
パッケージの話って、すごく地味ですよね。
商品ページにデカデカと書くようなアピールポイントでもないですし、口に入れたら関係ない部分の話でもあります。
でも、大事なレース当日、ザックを開けてジェルを取り出した瞬間に「あ、破れてる」といった思いをしないこと。それが、私たちのやりたかったことなんです。
摂取すファミリーの皆さん、これからもザックやポケットに入れて、たくさん走ってください。「オレは摂取す」は見えないところでも、ランナーの皆さんの記録を支えています。
オレは摂取す、これからもよろしくお願いいたします。





